前回、レンディングと呼ばれる仮想通貨(暗号資産)を貸し出して利息を得るサービスについて解説をしました。
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レンディングは預ける期間や金額によって利息が変わるので、価格変動のリスクが付いてきます。その代わり利率が銀行の利息とは比べものにならないくらい大きいです。
「最初は長期にせずにお試し程度にレンディングしてみようかな・・・」と悩んで更に調べていくと、保有しているだけで利息が付くステーキングと呼ばれるサービスを発見しました。
ステーキングは日本の取引所もサービス提供を行っているようなので、導入のハードルも低そう!と思い調べてみると益々興味がわいてきました!
ステーキングとは一体どのようなサービスなのか、レンディングとの違いなど解説をしていきたいと思います。
目次
仮想通貨(暗号資産)のステーキングとは?

先ほど「保有しているだけで利息が付く」とだけ簡単にご説明しましたが、もう少し詳しく説明すると「PoS(プルーフ・オブ・ステーク)またはPoSに類似するコンセンサスアルゴリズムが採用された暗号資産を保有し、ブロックチェーンのP2Pネットワークに参加することで報酬を得られること」がステーキングとなります。
PoS・・・コンセンサスアルゴリズム・・・ブロックチェーンのP2Pネットワークに参加・・・なにそれ?
確かにこの文章は「パルスのファルシのルシがコクーンでパージ」くらい分かりにくいと思います。
分かりにくい単語を1つずつ簡単に解説をすると、
PoS → PoW(プルーフ・オブ・ワーク)の代替システムとして誕生。保有している数量と期間によって報酬が支払われる。イーサリアム2.0で採用されて有名となる。
PoW → ビットコインなどに採用されているシステム。取引や送金する際に正しい情報かどうかブロックチェーン上のデータを計算して、より早く正しい情報を計算できたものに報酬が支払われる。マイニングが可能な暗号資産はPoWを採用している。
コンセンサスアルゴリズム → データの正しさを合意するを得る仕組みのこと。
ブロックチェーン → 管理者が自前のシステムでデータベースを管理するのではなく、ネットワーク上でデータベースを管理していること。データベースの更新を行うには参加者間で合意を取ることが必要。
P2Pネットワーク → LINEやSkypeなどにも採用されているシステムです。今まではパソコン1台1台がサーバーに接続してから通信を行っていたので同時接続が増えると通信遅くなったり、そもそもサーバーが壊れると通信出来なくなったりしていました。しかしP2Pネットワークではパソコン同士をサーバー介さずパソコン同士を直接繋ぐので、例えば1台のパソコンが壊れたとしても別のパソコンで通信が可能となります。またサーバーに1点集中しないので、通信が遅くならないのが利点となります。但し直接通信を行うので、ウイルスなどの問題点があります。
ちょっと長くなりましたね・・・。
難しい単語が多すぎるので、「PoSを採用している暗号資産を保有し続けることで報酬が得られる」とだけ覚えておけばいいと思います。
なぜ保有するだけで報酬を得られるのか
これまで報酬として暗号資産を得るためには、マイニングを行うかレンディング(貸仮想通貨)を行うしかありませんでした。マイニングはリグなど初期投資がかかる上、電気代も考えなければいけません。レンディングは初期投資はかからないものの、期間に縛りがあり価格変動のリスクを負う必要がありました。
この2つと比べても保有するだけはかなりハードルが低く見えてしまいます。なのに保有するだけで報酬が得られるのか・・・。
理由は簡単でステーキング報酬を目的とする人が長期・大量保有することで、暗号資産の資産価値が上がることにも繋がります。価格変動が起きやすい暗号資産ならではと言えるでしょう。
ステーキングとレンディングの違い
似たようなサービスとして紹介されることの多いステーキングとレンディングですが、それぞれのサービス内容を確認していきましょう。
ステーキング | レンディング (貸仮想通貨) | |
サービス内容 | PoS採用の暗号資産を保有することで 報酬を得られるサービス | 自身が保有している暗号資産を貸し出すことで 報酬が得られるサービス |
報酬内容 | 保有額×年率 | 貸し出し額×年率 |
額の上限 | 基本上限なし | 上限あり |
期限 | 保有期限なし | 保有期限あり (数パターン) |
利率の変動 | 契約中変動あり | 契約中変動なし |
解約 | いつでも可能 | 基本期間中不可 |
対象銘柄 | 少ない | 比較的多い |
両サービスを比較するとこのようになります。
選べる暗号資産は少ないが上限もなく、保有するだけで利息が付くステーキング。
多くの銘柄を選べるが、期限や数量など制限があるレンディング。
どちらも長期保有や分散管理をする目的としては試してみる価値がありそうです。
また役割としてはステーキングはマイニングと比較されても良いのですが、報酬の内容からどうしてもレンディングと比較されるようです。
ステーキングを行う手段
ステーキングを行うには、
- 自分でウォレットを管理して、ノードを立ち上げる
- ステーキングサービスを提供している取引所を利用する
この2つのどちらかになると思います。
マイニングに詳しい方ならば「1.ソロマイニング」「2.プールマイニング」と似た感じでしょうか。
そう1番はかなりの知識と資金力、そしてリスクを負える覚悟がないと難しいです。ステーキングは保有期間が長く、保有数が多くないと報酬が受け取れません。その代わり実現できるならば多くの報酬を得ることができるでしょう。
2番ではステーキングプールと言われる集団に参加をすることで、報酬が得られやすくなるというメリットがあります。
一般的には私達のような人はステーキングサービスを利用して、ステーキングを行うことになります。
ステーキングサービスを提供している取引所など
それではステーキングサービスを提供している取引所などを一部ご紹介したいと思います。
GMOコイン
個人が契約する取引所として手数料が安く提供されているGMOコインですが、ステーキングサービスを提供しています。内容としては、
GMOコイン | |
取り扱い銘柄 | テゾス(XTZ) |
最小保有数量 | 1XTZ / 日 ~ |
判定期間 | ステーキングのデリゲートサイクルによる |
報酬受取日 | 毎月10日(土日祝の場合は翌平日) ※最初の報酬は翌々月(3ヶ月後の場合もあり) |
報酬額 | 変動制 |
手数料 | 無料 |
テゾス(XTZ)という暗号資産の取り扱いをしているようです。こちらでシミュレーションもできるようなので、興味がある方はやってみてください。※ちなみに利率は概算なので注意してください。
coincheck(コインチェック)
2021年8月20日以降停止しております。現在再開は未定ですが、再開する可能性はあるようです。
コインチェック | |
取り扱い銘柄 | リスク(LSK) |
最小保有数量 | 10LSK以上 / 日~ |
報酬受取日 | 毎週水曜日 |
報酬額 | 変動制 |
現在停止しているので詳しい内容の確認が取れません。サービスを利用するためには、コインチェックの口座が必要となりますので、口座開設には数日かかりますので事前に口座開設を申し込むのも良いと思います。
bitFlyer(ビットフライヤー)
ビットフライヤーも2021年9月6日現在、サービスの提供を一時停止しております。再開する可能性はあるようです。
ビットフライヤー | |
取り扱い銘柄 | リスク(LSK) |
最小保有数量 | 10LSK以上 / 日~ |
報酬受取日 | 毎週水曜日 |
報酬額 | 変動制 |
コインチェックと同じ条件だったようです。こちらもサービスを利用するためには、ビットフライヤーの口座が必要となります。
BINANCE(バイナンス)
こちらは海外最大の取引所で日本円には換金できないものの、ステーキングの種類や取り扱い銘柄は段違いです。仮想通貨をしていてバイナンスを知らない人はいないくらいです。
バイナンスが提供するステーキングサービスは3種類あります。
- フレキシブルステーキング(Flexible Staking)
- 定期ステーキング(Locked Staking)
- DeFiステーキング(DeFi Staking)
それぞれどういうサービス内容なのかを解説していきます。
フレキシブルステーキング(Flexible Staking)
今まで紹介したステーキングと同じで、いつでも償還可能な資産をバイナンスのステーキング専用ウォレットに預けておくことで期間に応じて報酬を得ることができます。
3つのサービスの中では報酬が少ないですが、いつでも償還可能なのでリスクも低いステーキングと言えます。
※2021年9月現在は取り扱い銘柄がありません。
定期ステーキング(Locked Staking)
定期預金のように期間を選択して預けることにより、フレキシブルステーキングより多くの報酬を得ることが可能です。また取り扱い銘柄も多く存在します。
※EZ、TVK、MIR、1INCH、RAMP、AUCTION、ADA、ROSE、BIFI、IOTX、CAKE、BAKE、NEAR、OGN、SOL、MATIC、ONT、FIL、BNB、DOT、EOS、ATOM、DODO、ALGO、TRX、IOST、XEM、IRIS、CELR、LTO、XTZ、DASH、AVAX、SUSHI、KSM、YFI、ICX、WAVES、QTUM、CRV、KNC、LSK、ARKBAND、KAVA、ONE、KMD、TOMO、LOOM、ADX、FIRO、PNT、COS、ARPA、OAX、NAV、GXS(2021年9月現在)
DeFiステーキング(DeFi Staking)
DeFi(ディーファイ)とは「Decentralized Finance(分散型金融)」の略で、これまで金融は銀行や保険会社などが管理していましたがその管理団体を介さない金融取引が可能な全く新しいものとなります。
DeFiは様々なサービスがあるのですが、特に有名なのがDEX(分散型取引所)とレンディングになります。
今まで解説してきた取引所やレンディングは仮想通貨(暗号資産)取引所が運営しており、今回ご紹介するDeFiのDEXやレンディングとは異なります。DeFiでは取引所などを仲介せずに個人同士が取引をしたり、自分で利息を決めて仮想通貨を貸し出したりすることが可能です。また仲介を挟まないので手数料も安く済んだりします。
これだけ見ると素晴らしいものですが、実はDeFiには管理機関がいない分リスクが大きいというデメリットが存在します。時価総額がわずか35分で6000万ドルから0になったミームコインのヤム(YAM)など、嘘のようなことが起こりえます。DeFiはかなりのハイリスクハイリターンな投資となります。
バイナンスのDeFiステーキングは、ユーザーが特定のDeFi商品に参加することを代行し、実現した収益を取得および分配し、ユーザーがワンクリックでDeFi商品にアクセスできるようにサポートしてくれます。
具体的にはバイナンスが厳選したDeFiプロジェクトのみを選択し、リアルタイムでDeFiシステムを監視しているそうです。但し外部の攻撃など損失が発生した場合はバイナンス側が保障してくれるわけではありません。
※BNB,USDT,BUSD,USDC,SXP,LINK,ETH,XVS,HARD,DAI,BTC(2021年9月現在)
定期ステーキングやDeFiステーキングなど、日本の取引所にはないサービスも充実
さすがバイナンスという感じで、DeFiまで採用されているようです。少し日本の取引所と同じ内容のフレキシブルステーキングが現在取り扱いがないので、リスクを加味した上で定期ステーキングやDeFiステーキングでより利益を上げるのもありかもしれません。
【結論】ステーキングを上手く利用して更に資産を増やそう
決まった種類の暗号資産の取り扱いになるものの、規定数量を保有しておくだけで利息を得ることができるサービスです。
短期トレード目的でなく、長期保有など暗号資産を保有して管理するならばオススメしたいと思います。
ただし当然リスクがついてきます。
PoSシステムはPoWシステムのように複雑な計算が必要ないので電気代が必要なくエコなシステムとは言えますが、同時にセキュリティ面の不安もあります。
特にバイナンスが取り扱うDeFiステーキングは開発者が持ち逃げをしたり、外部からハッキングされて全て資産を奪われる可能性もあります。バイナンスが選定したものとはいえ、保障があるわけではないので注意は必要です。
リスクを十分に理解した上で無理な投資はせず、資産管理を行いましょう。