MSI製RTX3080 VENTUSのサーマルパッド交換手順

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msi製サーマルパッド交換手順

GPUマイニングとASICマイニングを平行して行っています私が、今回はかなりのやばい状況に陥りました。

なんとGPUの温度が上がりすぎて、グラフィックボードから液漏れしているではありませんか!!!

さらに温度が下がらないことにより、ハッシュレートが爆下がり・・・

ググってみたらGPUの温度上昇が原因で起こる現象ということが判明しました。

対策として有名なのはサーマルパッドといわれる放熱させるシート?みたいなものを交換すると効果があるようです。

ならば!と早速Amazonさんでポチってみたので、交換を行いたいと思います。

この記事はマイニングのみならず、ゲーミングPCでも使用させるグラフィックボードの熱対策として参考になります。

目次

今回の内容

今回は熱が酷いグラフィックボードのサーマルパッド交換を行います。

交換するグラフィックボードの詳細

サーマルパッドを交換するグラボ

「MSI製 GeForce RTX™ 3080 VENTUS 3X 10G OC」です。

現在の状態

  • 液漏れ
  • 温度の上昇(他グラボより+7度)
  • ハッシュレートが下がる(他グラボより-10MH)

このような状態です。メモリクロックなどオーバークロックを極端に設定しても数値が変わらない。

対処方法

漏れた液を丁寧に拭き取り、サーマルパッドの交換を行う。

事前に準備しておくこと

グラフィックボード本体を解体してからしか交換ができないので、以下の物を事前に準備をしましょう。

  • メーカー保証を受けれない覚悟
  • 精密ドライバー(100均でOK)
  • プラスドライバー
  • サーマルパッド(1mm・2mm・3mm)
  • グリス
  • グリスクリーナー
  • キムワイプ(拭き取り用)
  • 作業マット
  • 定規
  • カッターナイフ
  • 油性マジック(細い)

以上です。

一番上にも書きましたが、サーマルパッドの交換をするくらい解体するとメーカー保証が受けれません。この覚悟が一番大切です。今回交換するRTX3080は軽く15万以上する高級品ですので、万が一こちらに過失がなくても仕方ないという覚悟を持ちましょう。

精密ドライバー

磁石付きはやめておきましょう。100均に売ってあるやつでも問題ありません。基本的にプラスネジなのですが、穴が小さいので準備しましょう。面倒な人は下のリンクのやつを他の道具と一緒に買ってもOKです。

プラスドライバー

これも100均ので問題ありません。磁石が入っているものはやめておきましょう。精密ドライバーだけでもどうにかなる可能性もありますが、あるなら準備をしてください。

サーマルパッド(1mm厚・2mm厚・3mm厚)

これを交換するので絶対に必要です。私が調べる限り下のリンクのメーカーのものをみんなが使用していました。120mm×120mmの大きさならば各1枚ずつで1台に対して余裕があります。1mm厚だけは85mm×45mmでも大丈夫です。

グリス

GPUに塗るグリスです。最初から塗ってあるものを一度取ってから、こちらの商品を塗る必要があります。綺麗に塗りましょう。

グリスクリーナー

最初に塗ってあるグリスを取る洗浄液です。これがないと前のが残ってしまうので準備しましょう。

キムワイプ

漏れた液を拭いたり、グリスを拭き取ったりするのに必要なペーパーです。普通のティッシュペーパーより繊維が残りにくいものとなります。

作業マット

精密機械を取り扱うので、静電気など発生しにくい頑丈なマットがあった方がいいです。もっと広い作業スペース取れる方は大き目のマットが良いかもしれません。

定規・カッターナイフ・油性マジック(細)

サーマルパッドをカットするために使用します。

その他必要な物

サーマルパッド交換に直接は関係ありませんが、交換前後のGPUの温度を確認しておいた方が効果が目に見えてわかります。そのために、

  • Windowsパソコン(温度をチェックしたいグラボを追加で差し込めるもの)
  • MSI Afterbuner
  • HWiNFO64
  • NiceHash QuickMiner

を準備しました。

MSI Afterbuner+HWiNFO64でコアの温度まで確認をすることが可能です。またマイニング中の温度を測りたいので、簡単に導入可能でASICでもお世話になっているNiceHashのQuickMinerを使ってマイニングを行います。

それぞれ別で紹介したいと思いますので、インストール方法など詳しく知りたい方は下のリンクからチェックしてみてください。

コアの温度チェック

msi-afterbuner

サーマルパッド交換前の数値がこちらです。なんとコアの温度(GPU Memory Junction Temperature)が108度・・・そりゃ液漏れするし、熱も下がらないわ・・・

これがどのくらい改善されるのか楽しみです。

サーマルパッド交換手順

いよいよ交換に入りたいと思います。大まかな交換手順は以下の通りです。

  1. グラボ解体
  2. 漏れた液体を拭き取る
  3. 既存サーマルパッドのサイズを測る
  4. 新規サーマルパッドの切り出し
  5. 既存サーマルパッドを外して新規サーマルパッドを貼る
  6. 既存グリスの拭き取り
  7. 新規グリスを塗る
  8. グラボ組立

この順番で作業を行いたいと思います。

作業用マットがある人はマットを敷いて、その上のグラボのコアを上にした状態(ファンが下)で置きましょう。※配線類は全て外しておいてくださいね。

1.グラボの解体

初見だと難しそうに見えますが、グラボの解体はそこまで難しくはありません。要点を解説するので参考に解体をしてみてください。

表のネジを外す

まずは精密ドライバーを使用して、7か所のネジを外します。※左の2か所は出てこない時もあるので、完全に外した後にひっくり返して出してください。

認証シールとばねのあるコア周りを外す

コア部分の金具を外すため4か所のネジを外します。1か所はシールが貼ってあるので、メーカー保証を諦めて自己責任で外しましょう。

また金具がばねのように飛び出してくるので、ネジの紛失にも注意してください。

サイドのネジを外す

サイドの3か所のネジを普通のプラスドライバーで外します。※精密ドライバーでも外れますが、普通のドライバーの方が力が入ります。外したらこの裏にある・・・

サイド裏のネジを1個外す

基盤とサイドのパネルを止めているネジがあるので、1か所外します。

ファンを外して分解する

外のネジは全て外したので、黒と白のプラスティックのファン電源を外します。少し固いですが、赤い点の部分を掴んで引っ張ってください。すると・・・

2つにわかれる

このように2つに別れた状態になります。オレンジ枠がグリスが付いている部分(上の方がコアです)。赤枠がサーマルパッドを交換する場所で青枠もサーマルパッドが付いていますが、今回は交換しませんでした。

さらに解体を進めていきます。

4か所のネジを外して更に解体

上3か所、下1か所を精密ドライバーで外すと、

更に2つに別れる

さらに2つにわかれた状態となります。

下のカバー部分の赤枠5か所がサーマルパッドの交換部分です。

2.漏れた液体を拭き取る

サーマルパッドが溶け出したのか、張り付いている部分が濡れていますのでキムワイプで拭き取りしてください。精密機械ですので優しく、丁寧に扱いましょう。

3.既存サーマルパッドのサイズを測る

続いては実際に貼ってあるサーマルパッドのサイズを測りたいと思います。ただ測りにくいし面倒ですよね。

確実に同じとは言えないかもしれませんが、面倒な方用に私が測ったサイズを公開したいと思います。

貼り替え1

更に2つに別れる

まずは量が少ないこちらから。厚さは全て3mmを使用しています。

  • 左:6mm × 73mm
  • 中央左右:15mm × 52mm
  • 中央上:40mm × 15mm
  • 中央下:15mm × 13m
  • 右:7mm × 73mm

となります。※全て横×縦で表示しています。

次がややこしいです。

貼り替え2

2つにわかれる

こっちは厚みが違ったり長さのバラバラなので、左の赤枠・オレンジ枠周りの赤枠・右の赤枠の3つに分けてお知らせします。

<左の赤枠>
  • 左(短い2本):6mm × 28mm × 3mm厚
  • 中央:8mm × 83mm × 1mm厚
  • 右(長い2本):6mm × 79mm × 3mm厚
<オレンジ枠周り>
  • 上:39mm × 15mm × 2mm厚
  • 下:15mm × 12mm × 2mm厚
  • 左:17mm × 52mm × 2mm厚
  • 右:16mm × 52mm × 2mm厚
<右の赤枠>
  • 左:6mm × 67mm × 3mm厚
  • 中央左:6mm × 72mm × 3mm厚
  • 中央右:8mm × 78mm × 1mm厚
  • 右::6mm × 72mm × 3mm厚

この面は1~3mm厚を全て使用するので貼り間違えを注意しなくてはいけません。※厚みを間違えると効果がなく、熱が交換前より上がる恐れがあります。

この大きさは私が交換したサイズとなります。多少ずれがある可能性があるので、精密に測りたい方は解体後実測してみてください。

4.新規サーマルパッドの切り出し

準備したサーマルパッドに油性ペンを使ってカットの目印を書いていきます。上がビニール面になっているので、ボールペンでは書くことができないです。目印を書き終えたら、カッターナイフでカットします。

5.既存サーマルパッドを外して新規サーマルパッドを貼る

場所を間違えないように、剥がしたら貼るを繰り返し行います。剥がしたあとはキムワイプなどで綺麗に汚れをとってから貼りましょう。貼り替え2の面の網?のところに貼ってあるサーマルパッドはめちゃくちゃ剥がしにくいです。

はがしにくいサーマルパッド

私は一旦指で取れる範囲だけ取って、残りは綿棒でなるべく綺麗な状態まで取るようにしていました。

サーマルパッドは表面に透明なフィルム、裏面に水色のフィルムが付いているので忘れずに両方はがして貼ってくださいね。

6.既存グリスの拭き取り

2つにわかれる

オレンジ枠で囲まれた部分のグリスを綺麗に拭き取りましょう。最初は何もつけずに拭き取り、ある程度綺麗になったらグリスクリーナーをキムワイプに付けて何も付いていない状態にします。

え、元から何か塗ってあった?ってくらい綺麗にしてあげてください。

7.新規グリスを塗る

新たに準備したグリスを塗ります。適度にチップへ出したら、付属しているヘラで均等に広げます。塗り残しが無いようにしてください。また塗るのはチップの上だけで大丈夫です。周りの基盤部分やその周りのシルバーの部分には塗る必要はありません。

塗りを失敗した場合はグリスクリーナーで綺麗に拭き取ってから再度塗れば良いので、あまり緊張せずに丁寧に塗ってあげましょう。

8.グラボ組立

グリスも塗り終わったら、1とは逆の手順で組み立てていきます。手順としては、

  1. コアが付いたパーツとカバーのパーツを重ねる
  2. HDMIを差し込む側の金属パーツを挟み、黒いパーツを3か所、下を1か所ネジで留める
  3. 今組み合わせたパーツと網が付いたパーツを重ねる
  4. 外側7か所(解体の時に最初に外したところ)を止めて、コア周りの金具を4か所のネジで留める
  5. HDMI差込口側のネジ3か所を留める
  6. HDMI差込口裏面のネジを1か所留める

という順番で組み立てをしましょう。

注意点としてはHDMI差込口周辺の金属パーツ(シルバー)はカバーとチップの付いた基盤の間に差し込んでください。重ねた後でも横から簡単に差し込めるので、重ねたあとに差し込んだ方が良いです。

またコア周りカバー側の4か所を留めるのは、結構な力が必要になります。1か所1か所ネジを留め切らずに、ちょっとずつ均等にネジを留めていきましょう。

交換後の数値を確認

無事にサーマルパッドの交換が終わったので、MSI Afterbunerで結果をみていきましょう。

サーマルパッドの交換後の温度

結果として「108°→88°」と20°の減少効果を得られました!正直言ってもうちょっと下がって欲しかったとは思いますが、それでも20°も下がるなら効果があったと言えるのではないでしょうか。

交換してから1ヶ月の状態

以前は表面温度が56°まで上昇していたグラボですが、他のグラボよりはファンが回っているものの50~51°を保ってくれるようになりました!サーマルパッド交換したのにASUS製のGTX3080よりも温度が上がるのは「え・・・」とは思いますが、そこは仕方ない!と思います。引き続き暑い夏は続きますので、状態を見ていこうと思います。

まとめ

今回はコア温度が上がりやすいMSI製のグラフィックボード「 GeForce RTX™ 3080 VENTUS 3X 10G OC 」のサーマルパッド交換をやってみました。

結果として20°ものコア温度低下を達成して、56°と異常に上がっていた(他社製品は50°くらい)表面温度も50~51°で安定するようになりました。

サーマルパッド交換をする場合、メーカー保証を受けれなくなるなどリスクはありますが温度が上がり過ぎてすぐに壊れては保証どころの話ではありません。液漏れもしていましたしね。

GPUマイニング用のマイニングリグを組み立てるよりは作業も遥かに簡単ですし、各アイテムもAmazonで簡単に購入が可能なので後3台あるMSI製グラボも温度が下がらなかったりハッシュレートが落ちてきたら即サーマルパッド交換をしようと思います!

細かくご説明したつもりですが、不足情報などあったらドシドシお問い合わせください。

実は今回のグラボを再度リグに取り付ける際に、別のMSI製グラボのファンを割ってしまいました・・・。

グラボのファンが割れた

やってしまったときは思わず「あああーーーーーーーー」と叫びました。

ただファンを交換することができるみたいなので、次回はファンの交換作業をお送りしたいと思います。

ほんと、皆さんはグラボを大切に扱ってあげてくださいね。

それではまた!

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この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (11件)

  • 同じグラボ使ってますのでとても参考になりました!
    こちらの詳細なサーマルパッドの厚みの等の解説が無かったら大失敗していたと思います。
    保障無くなりましたが交換してかなり効果あり安心してまわせる様になりました!
    ありがとうございました!

    • コメントありがとうございます!
      私が一度厚みの事など考えず交換して全然改善されなかった経験をしたので、
      今回詳細を記事にしてみました。
      お役に立てて良かったです!

  • 自分も同じグラボで油漏れしていたため、高価なサーマルパッドを購入、
    こちらのHPを参考に交換し、いざ電源ON!・・・
    何故かファンが前回&GPU-Zで確認できるもメモリがUNKNOWN・・・
    やってもたーっ!!20万ががががっ・・・・(もう元は取ってますが・・・)
    もうその日はどっと疲れてしまい・・・電源OFFの状態。
    明日以降また3枚に下ろして・・・シンドイ
    あー復活してくれ~~~

    • コメントありがとうございます!

      元は取っているのが唯一の救いですが、
      解体→貼り替えは結構疲れるのでしんどいですよね・・・。
      しかも本体が高いので尚の事辛い。

      元を取ってからが勝負だと思ってますので、
      無事に動くといいですね。
      また状況教えてください!

      • ご報告遅くなりました!
        結果から申しますと、復活致しました!
        正直原因をお話しするのが非常に恥ずかしいのですが…
        原因はGPU周りのサーマルパッドですが、2㎜なんですよね。
        自分はすべて3㎜を使用してしまったため、GPUがなんと浮いて
        密着してませんでした。ネジでぎゅっと締め付ければ1㎜程だったら
        沈み込むと思っていたのですが…
        3枚に下ろした時には「ぇ…」脳裏によぎったのが祈りながらこの状態で
        数十回は立ち上げようとしたからGPU燃えてるかも…
        2㎜を急遽購入し再組立てしたところしっかり認識し、Nicehashも問題なく
        掘りはじめ、89.4MH/sという最高の値に!
        メモリ温度はそれほど下がっていないのですが94度で安定、サーマルロット
        リングは働いていないようでした。
        大変お騒がせ致しました(*’ω’*)
        いやーよいこの皆さんは2㎜を使いましょう!
        現在498.54MH/sになりました!今年に入ってからコツコツGBを買い増しし
        100万ほど投資してますが、今年ですべて元が取れるので来年からは
        かなり悠々自適な環境になりそうです(BTC暴落は無しとして…)
        多分2025年にはBTCも掘りつくされるようですので、それまではホールドし
        陽と思います。それでは3年後にお会いしましょう!

        • ご報告ありがとうございます!
          早期発見と無事に動くようになって良かったです!

          私もサーマルパッド交換する前は1mmくらい変わらないやろうと思って、
          厚みを調査せずにやったんです。
          結果全然改善されずに再度やり直すはめに・・・。
          なので本当に厚みとかはきちんとした方が良さそうですね!

          元が取れているのは本当に羨ましいです。
          私も仮想通貨が順調な間に元を取って、
          早く利益を積み上げたいと思います!

          • いやほんと「動け!動け!うごいてよーっ!!」って何度も再起動したのでコア逝ったと思ってまして、復活したときはもう歓喜の雄叫びを挙げてしまいました。今順調にLiteモードにて動いとります^^
            あとクリセツさんのページで紹介されているリグじっくり見てみたんですが
            1日1GH/s…いや5GH/sぐらい逝ってるのでしょうかw
            羨ましい限りです!
            それにBTCマイニングも終盤に近付くにつれて下がることはない(今は情勢不安定で下げが強いですが)と思ってますので、多分クリセツさんは2025年には億り人になっていると思います(笑)
            それではまた!

          • 元取れたとはいえ「今動かなきゃ、何にもならないんだ!」って感じですよね。
            まだ始めたばかりの私は逝ってしまうのが怖くて、92MH/sまで落としているグラボもあるくらいです。

            現状ですとETH・BTCがそれぞれ約1.7GH/sくらいです。
            涼しくなればもうちょっとオーバークロックを調整して、
            もうちょい効率良く出来ないか調査しようと思っています。

            億り人なれたら最高ですね!
            豆猫さんを信じて2025年までリグが動くよう、
            ちょこちょこメンテナンスしたいと思います。

            お互いマイニング頑張りましょう!

  • はじめまして!
    こちらの記事を読んで早速解体し始めたら、コアのバネ外そうとしてネジ穴なめましたw
    このネジがバネから外れないようなので、これだけ注文できたらいいんですけどね〜

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